細川夏子ピアノリサイタル 晴れときどきコラム



細川夏子 ピアノリサイタル その1

2009年6月5日19:00より
東京オペラシティ リサイタルホールにて
細川夏子 ピアノリサイタル

知人の知人という関係で、本人のことは良く知らないままだった。

最初に、マネジメントをしているという男性が出てきて
何やら説明を始めた。
「数日前に体調が悪くなり、指の動きが思わしくない・・・」

中止かと思ったがそうではないらしい。
「お手元のプログラムをご覧ください。
4番目の第8曲インプロビゼーションを最後に持っていき
最後に予定していた5曲を取りやめます。およそ13分短縮させて頂きます。
アンコールもあるかどうか分かりません」とのこと・・・

クラッシクコンサートではこの様なことはよくあるのだろうか?
少なくとも、私が今まで聞いてきた限りではない。
(芝居で代役というのはあったが)

しかし、皆静かに受け止めているようだ。

私は次の言葉を待ったが、
他の音楽家が出てきて短縮された部分を代役をする様子もない。
チケットの一部払戻しもないようだ。
「どうぞお察しください。では始めます」と言い、男性は引っ込んだ。

本人が出てきた。
椅子の具合をひどく気にしている。
やはり緊張している。こちらも緊張する。最後までつとまるだろうかという思いが頭をよぎる。

演奏が始まり
今まで聴いたことのないようなピアノの音色が流れ始めた〜〜〜。

一曲終わり、本人から
説明か謝罪があるのかと思ったが何もなかった。
クラシックリサイタルってそれが普通なの???
それとも、彼女のスタイル???
彼女を見るのは初めてなのでよく分からない。
舞台人としてどうなのだろう・・・と、疑問に思ってしまったのだが・・・

体調が悪いから仕方がないのかな・・・
余裕がないんだな・・・
そんな風に気持ちを切り替え、演奏に集中することにした。

確かに演奏は良かった♪
タッチが柔らかい。
ピアノの音のように聞こえない不思議さ。

演奏内容に関しては、次記事で・・・(続く)・・・

細川夏子 ピアノリサイタル その2

演奏が始まって驚いた。
いままでに聞いたことのないピアノの音色。

雨で気圧が変化して、自分の耳がどうかなっているのかと思った。

まろやかなのだ。
そして、耳の遠くの方から聞こえる気がするのに
脳には直接届いている感じがした。

私が知っているピアノとは違う楽器のような気がした。

このホールの響き方?
スタインウェイのピアノ?
曲?
演奏?

この不思議さは私だけかどうか確かめるために
1曲目が済んで同行していた知人に聞いてみた。
「ピアノじゃないみたいですね」と話をむけると
「軽やかね〜」と返ってきた。指使いを言っているようだ。
確かに、それもあるかもね・・・

変更後のプログラムは
_____________________________
ファリャ作曲 「ファンタジー・ベティカ」
       「火祭りの踊り」

シャブリエ作曲「即興曲」

休 憩

シャブリエ作曲 絵画的小品集より
       「第1曲 風景」
       「第2曲 憂い」
       「第4曲 木陰にて」
       「第10曲 スケルツォ・ヴァルス」
       「第8曲 インプロビゼーション」

アンコールは もう一度

ファリャ作曲 「火祭りの踊り」
_____________________________

2曲目以降も、耳に何重かの膜があるように遠くから聞こえるのに
脳髄に直接響く感じが続いた。
それは間違いなく心地よい。

そして、何曲か聴いているうちに・・・
曲の最後で音の響きが長く残っていることに気づいた。
管楽器のような余韻がある。

これかもしれないと思った。
ひとつの音の下には前の音の残響があり
上にはさらに次の音の響きが重なる。
だからピアノではなく、オーケストラの様な錯覚を感じたのだ。

音色だけでなく響きを駆使している!
かなりの演奏技術なのだろう。

そう言えばプロフィールに
[ムジク・ノーヴァにて「芳醇な音色を持ったピアニスト」と好評を得る]とある。

そうか。私は音に酔っ払ってしまったのだ。
五感が遠くなり、脳に直接影響を受け心地よいなんて、正しく酔っている状態。

自宅に帰り、芳醇という言葉を調べてみた。
「酒の香りが高く、味が良いこと」・・・やっぱり〜♪

雨の中、行って良かったリサイタルだった。
脳がほぐされたような気がする。
細川夏子さんの体調の回復をお祈りします。